日本腹部救急医学会雑誌
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増加傾向にあるスキー, スノーボードによる腹部臓器損傷の特徴
北村 宏秋田 倫幸古沢 徳彦田中 研一小林 忠二郎井上 善博柳沢 温
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2003 年 23 巻 5 号 p. 713-718

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抄録

1997年1月より2002年4月までの6シーズンに経験したスキー, スノーボード (ボード) による腹部鈍的外傷102例を検討した. ボードに因る受傷はスキーの2倍で, 若年の男性が多かった. 受傷機転はスキーが転倒, 衝突, ジャンプ失敗 (17: 14: 3) の順に多く, ボードが転倒, ジャンプ失敗, 衝突 (38: 13: 12) の順に多かった. スキーでの損傷では腎, 肝, 脾の順に多く (13: 7: 4), ボードでは腎, 脾, 肝の順に多かった (29: 13: 5). 33例では腹部打撲のみで内臓損傷を認めなかった. 肝損傷12例, 腎損傷42例はすべて保存的に治療した. 脾損傷は17例中10例に手術を施行した. 脾損傷の手術のうち9例はボードによるもので10例とも脾臓摘出術が施行された. スキー, ボードいずれによる損傷においても約30%の症例に腹部以外の重度外傷を合併した. 腹部外傷においてもボードはスキーと比較し危険度が高く, 対策が必要と考えられた.

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