日本腹部救急医学会雑誌
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特発性虫垂重積症の1症例
濱畑 淳盛長谷川 俊二瀬田 真祐小島 伸山村 芳弘永田 博康伊藤 嘉智佐々木 勝海
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2003 年 23 巻 5 号 p. 773-777

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抄録

症例は, 51歳男性で右下腹部痛があり, 近医にて超音波検査で腸重積を指摘された. 当科初診時, 腹部CTでも右下腹部に腸管内層状をもつ腫瘤像を認め, 回盲部腸重積症が疑われた. しかし, 入院後, 腫瘤は触れなくなり, 腹部CTでも腸管内に縮小した層状構造の腫瘤像を認めるのみとなった. 腸重積像は消失し, 腸管内に隆起した腫瘤像を認めた. 注腸検査では, 虫垂重積症に特徴的なCoiled-spring signを認め, 内視鏡検査では盲腸内腔に突出する半球状の腫瘤と, その頂部に虫垂の開口部を認めた. 虫垂重積症および虫垂腫瘍などを考え, 開腹手術を行った. 盲腸・虫垂は炎症性に肥厚して一塊となっており, 回盲部切除を行った. 摘出標本では, 虫垂の開口部が開大し, 基部が一部翻転して半球状の降起を形成する虫垂重積症と診断された. 虫垂重積症はまれな疾患であるが, 回盲部腸重積症の原因として鑑別診断に加えなけれぼならないと思われる.

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