日本腹部救急医学会雑誌
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イレウス管が誘因と考えられた空腸腸重積症の2例
大木 孝棚橋 美文竹吉 泉前村 道生安齋 徹男横江 隆夫大和田 進森下 靖雄
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キーワード: イレウス管, 腸重積
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2003 年 23 巻 5 号 p. 785-788

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抄録

イレウス管が誘因と考えられた空腸腸重積症を2例経験した. 症例1: 53歳男性. 2000年1月, 絞扼性腸閉塞の診断で小腸部分切除およびイレウス管によるsplinting施行後7日目より胃からの排液が増加した. エコーおよびCTで腸重積と診断し, 術後27日目に再開腹した. 前回吻合部の肛門側空腸が重積しており, 用手解除不能だったため小腸部分切除を施行した. 症例2: 68歳男性. 腸閉塞を繰り返すため, 2000年11月, 小腸部分切除およびイレウス管によるsplintingを施行した. イレウス管抜去翌日 (術後5日目), 左下腹部に軽度の圧痛を訴えた. エコーおよびCTで腸重積と診断し, 再開腹した. 前回吻合部の肛門側空腸が重積しており, Hutchinson手技による重積解除術を行った. 以上2例は, 腸重積先進部に肉眼上明らかな病変は認められず, イレウス管が誘因と考えられた. エコーやCTは腸重積の術前診断に有用であった.

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