日本腹部救急医学会雑誌
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腸骨採骨部に生じた腹壁瘢痕ヘルニアの1例
石井 要西村 元一藤村 隆清水 康一太田 哲生三輪 晃一
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2003 年 23 巻 5 号 p. 811-814

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抄録

腸骨採骨部に生じた腹壁搬痕ヘルニアの1例を経験したので報告する. 症例は66歳, 女性. り, その際に左腸骨採骨術が施行された. 2001年5月より, 主訴を自覚し, 当院を受診した. 左側腹部には圧痛のない膨隆を認めた. 骨盤部X線写真およびCT検査で左腸骨の骨欠損が見られ, 同部の筋層が離解し, そこから腸管の脱出が認められた. 以上より腸骨採骨部に生じた腹壁搬痕ヘルニアと診断し, 腸閉塞への移行も懸念されたことから, 手術を施行した. 手術は, 外腹斜筋腸骨付着部が断裂, そこからヘルニア嚢が露出していた. 嚢を開放の後, 切除および結紮縫合を行った. 筋層骨膜縫合の後, メッシュを創下に挿入した. 術後経過は良好で, 現在再発の徴候は見られていない. 腸骨採骨時には, 合併症として本例のような腹壁搬痕ヘルニアを念頭に起き, 予防を行うことが肝要と思われた.

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