日本腹部救急医学会雑誌
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塞栓摘除術後, second-look procedure, 腸切除術にて救命し得た上腸間膜動脈塞栓症の1例
飯田 茂穂中川原 儀三太田 信次足立 巌石田 文生
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2004 年 24 巻 1 号 p. 133-136

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抄録
症例は69歳, 男性. 10年前より心房細動, 高血圧で当院内科通院中であった. 突然の腹痛で救急車にて来院した. 腹部全体に強い自発痛があり腸音蠕動の減弱, 上腹部に圧痛を認めた. 腹部CT検査で上腸間膜動脈に塞栓陰影を認め, 上腸間膜動脈造影検査にて, 上腸間膜動脈本幹は閉塞していた. 塞栓溶解療法を施行したが改善がみられず, 発症8時間後に手術を施行した. 小腸はチアノーゼを呈していたが, 壊死には陥っていなかった. 塞栓摘除術を施行した. 塞栓摘除術後の腸管の血流再開は十分でなく, second-look procedureの適応と判断し, 一度閉腹した. 塞栓摘除術より24時間後にsecond-look procedureを施行した. 小腸はTreitz靱帯より80cmから300cmにかけて壊死に陥っており, 小腸切除・端々吻合再建術を施行した. 術後経過は順調で, 術後31日目に退院した. 塞栓摘除術後の腸管の血流再開が不十分な場合は, second-look procedureを積極的に考慮すべきと思われた.
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