日本腹部救急医学会雑誌
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24 巻 , 1 号
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  • 池田 英二, 辻 尚志, 古谷 四郎, 市原 周治, 高木 章司, 鶴見 哲也
    2004 年 24 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    左側大腸イレウス, 穿孔例に対する一期的吻合と鏡視下手術について検討した. 対象は2001年7月から2003年3月までの18例で4例に緊急手術, 11例に経口, 経肛門的減圧後準緊急手術を行い, 残り3例は術前保存的治療無効例であった. 患者希望, 全身状態などを考慮し11例に一期的吻合, 7例に人工肛門造設を行った. 両群間で病変部位, 術前合併症に差はなく, 人工肛門群で有意に高齢であった. 術後合併症発生は吻合群で小腸壊死と縫合不全各1例, 人工肛門群で創感染1例であった. 腹腔鏡補助は非イレウス例での適応に加え, 術前減圧でき患者が希望した場合を適応とし5例に行った. 1例は開腹コンバートしたが, 腹腔鏡に関連した合併症はなかった. 左側大腸イレウス例であっても縫合不全率は非イレウス非穿孔例と差はなく術前, 術中減圧などで安全に一期的吻合できると思われる. 術前減圧可能であれば腹腔鏡下手術を応用し侵襲軽減も期待できる.
  • 杉本 昌之, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 坂本 英至, 伊神 剛, 森 俊治, 田畑 智丈, 河合 清貴, 深見 保之
    2004 年 24 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】従来, 大腸癌イレウス症例は緊急開腹手術の適応となることが多かったが, 経肛門的イレウス管の登場で減圧後の待期的腹腔鏡下手術が可能となり, 当院の基本方針としている. この方針の妥当性を検討した. 【方法】経肛門的イレウス管にて減圧に成功した大腸癌イレウス症例中, 腹腔鏡下切除術を行った群9例と開腹切除術を行った群7例とを比較検討した. 【結果】腹腔鏡下手術は開腹手術と比較し, 手術時間は有意に長いが, 出血量は少ない傾向が見られ, 創痛持続期間も短縮された. 腹腔鏡下手術を選択したことに起因する合併症は見られなかった. 【結論】大腸癌イレウス症例であっても経肛門的イレウス管で減圧に成功すれぼ短期予後に関しては開腹手術と比べても遜色なく腹腔鏡下切除術を行い得た. 長期予後が検討課題であるが, 経肛門的イレウス管と腹腔鏡下手術という二つのmodalityを用いる手法は, QOLを重視した有効な方法だと考えられる.
  • 稲葉 彰, 葛西 嘉亮, 三沢 尚弘, 佐藤 康次, 兼子 晋, 郡 太郎, 大橋 正樹, 不動寺 純明, 葛西 猛
    2004 年 24 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    緊急開腹手術症例101症例中, 深在性真菌症発症は9症例に認められた. 深在性真菌症発症の危険因子はIVH catheter留置, 呼吸器装着, 5剤以上の抗生物質投与, MRSA感染併発, 長期絶食期間 (平均32日) であった. 穿孔時腹水中真菌陽性は有意な危険因子ではなかった. 深在性真菌症は, 縫合不全や食道破裂や大腸穿孔による重篤感染症例, 腫瘍併存症例, 術前低栄養症例に認められ, 背景因子としてcompromised hostの状態になっていることが考えられた. その発症過程は身体各所に複数のcolonizationを認めた後, candidemiaに至る経過であった. 加療は, 抗真菌剤に, 経口摂取や経腸栄養を併用した症例に速やかなそして, 明瞭な回復が認められた. 腹部緊急手術患者における, 深在性真菌症の発症は周術期にcompromisedな状態にさらされることが原因であり, とくに腸管内の環境の破壊が主な原因となっていると推測された.
  • 小野 聡, 辻本 広紀, 平木 修一, 木下 学, 望月 英隆
    2004 年 24 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    近年急速な進歩をとげた分子生物学的手法の中でもpolymerase chain reaction (PCR) は血液, 体液中の極めて微量な細菌やウイルス, 癌関連遺伝子の解析までを可能とし, 各分野において応用されている. しかし外科領域においては, 感染症診断法としてのPCRの意義に関してはまだほとんど研究されていないのが実状である. そこで今回われわれは, 消化器外科病棟において検出される真菌, とくにCandida属の疾患別検出率についてretrospectiveに検討するとともに, 最近の消化器外科手術周術期患者を対象に, 末梢血中Candida DNAの検出を試み, 真菌培養検査, β-Dグルカン値との関連について検討した. その結果, 胃潰瘍穿孔患者や肝胆道系癌, 食道癌手術患者など大きな手術侵襲後の感染症において高率にCandida属が検出された. また外科的感染症患者を対象としたPCR法による末梢血Candida DNAの検出率は, 血液培養検査よりもはるかに検出率が高く, 特に胃潰瘍穿孔例, 潰瘍性大腸炎, 放射性腸炎患者や術縫合不全患者において高率に検出された. したがってPCR法によるCandida DNAの検出法は, 今後深在性真菌症の診断法として期待される検査法である.
  • 吉田 祐一, 炭山 嘉伸, 草地 信也, 有馬 陽一, 田中 英則, 中村 陽一, 浦松 雅史, 長尾 二郎, 柁原 宏久, 斉田 芳久
    2004 年 24 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    カンジダのPCR検査法としては, DNAの検査とRNAの検査があるが, DNAが型別分析に用いられる一方で, RNAの検出がカンジダ血症の診断に用いられている. RNAの検出法は, reverse transcription PCRであるが, リアルタイムPCR法は光学的自動処理を行い電気泳動を要さない. 深在性真菌症を疑う患者では, 培養法による真菌検出は困難であるが, PCR法は検出率は高い. しかし, 深在性真菌症の確定診断が困難であるため, PCR法の診断意義は疑診例における補助診断にとどまっている. 英国抗菌化学療法協会ガイドラインや米国感染症学会ガイドラインでは, 疑診例における経験的治療の適用やエビデンスの質が評価されている. 我が国のガイドラインでは, 外科領域において深在性真菌症患者を, 確定診断・臨床診断例・真菌症疑い例に分類しているが, 救急・集中治療領域においては深在性真菌症は確固たる診断法がないとしている.
  • 肝切除後急性肝不全症例における真菌症の検討
    川本 徹, 篠崎 英司, 高田 泰次, 湯沢 賢治, 足立 信也, 小田 竜也, 寺島 秀夫, 轟 健, 大河内 信弘
    2004 年 24 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    進行した肝胆道系の癌に対する手術は肝切除や膵切除を同時に行う症例が多く, 手術侵襲が多大なために, 術後全身状態ならびに肝機能の低下により, 易感染性状態となる. そのため, 術後感染症の制御は重要な課題である. 自験例における術後培養検査では約半数の症例に真菌が確認され, 難治性感染症の起因菌となり得ると推測された. 肝合併切除を行った16例のうちSIRSが7日以上遷延し, 真菌培養陽性あるいはβ-Dグルカン値が陽性となった4例が急性肝不全症状を呈した. 3例に深在性真菌症を疑い, フルコナゾールを投与したところ全例において真菌培養とβ-Dグルカン値が陰性化し, 2例はSIRSを離脱した. 肝胆道系の癌患者の術後管理において, 深在性真菌症を早期に疑い抗真菌剤を投与することで難治性感染症が制御され, 肝不全が軽快すると考えられた. 加えて, 真菌を念頭に置いた監視培養とβ-Dグルカン値の測定が有用であった.
  • 川岸 直樹, 藤盛 啓成, 里見 進
    2004 年 24 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    生体肝移植の周術期における真菌感染症対策について概説する. 生体肝移植は脳死肝移植と違い基本的には待機手術であることより, 術前からの真菌症対策が可能であることが多いため, さまざまな試みがなされてきた. 術前では各種監視培養, 血中抗原検査などにより上気道, 腸管, 尿路などの真菌を除菌しておく. 術中は固有肝, 吻合腸管の監視培養をし, 術後においても予防的抗真菌薬の投与, 監視培養, 血中抗原検査などを行い厳重な感染管理を行う. 起炎菌としてはCandidaが最も多く, Aspergillus, Mucor, Cryptococcusなどもみられる. Aspergillusによる髄膜炎は致死率が高く注意が必要である. 移植後致死的となる重大な感染症の一つである深在性真菌症の診断には, 発熱などの臨床所見, 単純X線, CTなどの画像所見のほか, β-Dglucan, Aspergillus抗原, Cryptococcus抗原, PCR法などによる補助診断が有用である. 治療はfluconazole, amphotericin B, miconazole, micafunginなどを用いる.
  • 香山 茂平, 竹末 芳生, 大毛 宏喜
    2004 年 24 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2011/06/03
    ジャーナル フリー
    真菌症治療開始の指標として, 現在カンジダ監視培養や血清学的診断が用いられている. β-D-グルカンのcutoff値はfungitec Gtest (生化学工業) において20pg/mlとされているが, 偽陽性が問題となっている. 今回カンジダ保菌患者における真菌症への治療開始基準としてのβ-D-グルカンのcutoff値について検討した. 抗菌薬不応性発熱を呈するカンジダ保菌の術後患者64例に, 血清β-D-グルカン測定を行い, fluconazoleによる治療効果を検討した. 治療の奏功率は28%であった. 患者背景では抗細菌薬使用期問のみが有効性に影響し, non-albicans Candida保菌は有意でなかった. β-D-グルカンのcuto狂値を20pg/mlとした場合, φ=0.42で広島大学大学院医歯薬学総合研究科病態制御医科学講座外科学有意の相関を示し, predicti vevalue (PV) は陽性47%, 陰性91%でefficiencyは69%あった. 多変量回帰分析でオッズ比は13倍であった. cutoff値を5pg/mlごとに7段階に分類したところ, 最も高い相関係数は40pg/mlで得られ (φ=0.61), PVは陽性72%, 陰性89%でefficiencyは84%であった. カンジダ保菌患者においてβ-D-グルカンのcutoff値を40pg/mlとした場合, 最も良好なclinicalvalueが得られた.
  • 二村 直樹, 松友 将純, 安村 幹央, 立山 健一郎, 多羅 尾信, 阪本 研一
    2004 年 24 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    餅による食餌性イレウスの2例を経験したので報告する. 症例1: 66歳の女性. 主訴は腹痛, 嘔吐で, 腹部に腹膜刺激症状を認めた. 血圧は74/36mmHgと低下していた. CT検査で小腸の拡張と小腸内にhighdensity tumorを認めた. ショックを伴ったイレウスの診断で緊急手術を行った2. 回腸末端より口側30cmの回腸内に白色調の硬い異物を認め, 同部より口側の小腸が拡張していた. 腸切開を行い餅を摘出した. 症例2: 76歳の女性. 主訴は右季肋部痛で腸閉塞の診断で入院した. 入院日に腹部CT検査で胃内と小腸内にhigh density tumorを認め, 上部消化管内視鏡検査で胃内に餅を認めたため, 餅による食餌性イレウスと診断した. 入院翌日の腹部CT検査で胃内の餅は十二指腸へ移動し, 小腸の餅も移動がみられた. 保存的に治療を行い, 軽快した. 餅はCT検査でhigh density tumorとして腸管内に認められ, 餅による食餌性イレウスの診断に有用であると考えられた.
  • 佐藤 篤司, 桑原 義之, 篠田 憲幸, 木村 昌弘, 石黒 秀行, 春木 伸裕, 杉浦 弘典, 田中 直, 片岡 誠, 藤井 義敬
    2004 年 24 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    出産直前に発症した, Meckel憩室捻転による腸閉塞の1例を経験した. 症例は妊娠38週の34歳女性で, 出産前日より腹痛, 嘔気・嘔吐が出現, 出産後も改善しないため当院入院となった. イレウス管挿入にても症状の軽快が得られず. 手術を施行した. 手術所見では, 回盲弁より50cmのMeckel憩室の基部が捻転して壊死を起こし, 捻転の際に回腸を引き込んで腸閉塞をきたしたものと考えられた. 成人のMeckel憩室自体の茎捻転の報告は, 本邦で4例が報告されているに過ぎず, さらに本症例ではMeckel憩室捻転・腸閉塞の発生に妊娠子宮が関与していると考えられ, 極めてまれな症例と思われた.
  • 塚山 正市, 大村 健二, 吉羽 秀麿, 小島 一人, 奥田 俊之, 尾山 佳永子, 平沼 知加志, 浅海 吉傑, 寺田 卓郎, 渡邊 剛
    2004 年 24 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は76歳, 女性. 全身倦怠感を主訴に来院した際に, 高度の貧血を認めた. 大動脈弁置換術後で, ワーファリンの内服による抗凝固療法中であった. 上部消化管内視鏡検査で胃潰瘍を認めたため, ワーファリンの休薬とPPIを中心とした抗潰瘍治療を開始した. 潰瘍は治癒したが, 臨床的に消化管出血の遷延が疑われたために行った血管造影では, 遠位回腸壁が強染し, 早期静脈還流を認めた. 出血シンチグラフィーでは, 6時間後に回腸末端から上行結腸にかけて異常集積を認めた. その後も貧血は緩徐に進行し, 頻回の輸血を要したため, 小腸出血の疑いで第30病日に手術を施行した. 術中内視鏡による詳細な検索の結果, Treitz靱帯より60cmの空腸に微細な出血点を認め, 同部位を含む約5cmの小腸部分切除術を施行した. 切除標本の肉眼所見には異常を認めず, 病理組織学的検索では粘膜下層を中心に壁が薄く, 拡張した血管がみられ, angiodysplasiaと診断した. 術後はアスピリンの内服を開始したが, 1年3ヵ月を経過した現在, 再出血はみられていない.
  • 田島 秀浩, 高井 優輝, 舟木 洋, 津山 博, 野島 直巳, 福島 亘, 角谷 直孝, 廣澤 久史, 泉 良平
    2004 年 24 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は29歳, 男性. 交通外傷で上腹部をハンドルと座席に挟まれ, 救出後当院に搬送された. 外傷性肝膵損傷の診断で保存的に治療を開始したが, 造影CTでIIIb型膵損傷と腹水の増量を認め, 入院後4日目に開腹手術にて膵周囲ドレナージを施行した. 術後, 網嚢内に挿入したドレーンからの膵液排出が700ml/日程度見られるようになり, ドレーンからの造影で体尾部の主膵管が造影された. その後, 絶食とした上で, ソマトスタチン製剤や蛋白分解酵素阻害剤, 凝固第XIII因子などを使用し, 排液量は200ml/日程度に減少したが, 保存的には瘻孔を閉鎖できなかった. そこで, 初回手術から7ヵ月後に瘻孔と挙上した空腸とをRoux-en-Y法で吻合し, 内痩化を行った. 術後, 軽度の縫合不全を認めたが, 保存的に軽快し, 2回目の手術後2ヵ月で退院となった. 治療の選択肢として膵温存術式と膵切除術が考えられたが, 手術侵襲や患者が若年者であることなどを考慮し, 瘻孔空腸吻合術を選択した.
  • 河島 俊文, 千野 修, 森川 五竜, 劔持 孝弘, 杉尾 芳紀, 飛田 浩輔, 島田 英雄, 生越 喬二, 田島 知郎, 幕内 博康
    2004 年 24 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    腹部内臓動脈瘤は主に脾動脈や腎動脈にみられ結腸動脈瘤はまれである. 今回, 待機的に手術を施行し得た副中結腸動脈瘤の1例を経験したので報告する. 症例は49歳, 男性. 上腹部痛, 嘔吐を主訴に来院した. 軽度の貧血と左上腹部に圧痛を伴う腫瘤を認めた. 上部消化管造影でTreitz靱帯付近で上部空腸閉塞を認め, また腹部CT, 超音波検査で膵尾部に接する腹腔内血腫が疑われた. 腹部血管造影検査の結果, 10mm大の副中結腸動脈瘤と診断された. この時点で造影剤の血管外への流出は認めず, 貧血の進行はなく血圧も安定していたため, 待機的に手術を施行した. 術中所見では横行結腸間膜左側に器質化した超手拳大の後腹膜血腫があり, 上部空腸閉塞をきたしていた左結腸切除および上部空腸切除術を行い良好な術後経過を得た. 自験例は副中結腸動脈瘤症例, 本邦報告例の3例目と考えられる. 臨床病理学的検討を加え報告する.
  • 山内 聡, 新井 正徳, 小山 敦, 東 和明, 牧 真彦, 新谷 史明
    2004 年 24 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    近年, 本邦で急性肺動脈塞栓症 (APE) は増加している. われわれは1999年1月から2002年12月までに, 消化器外科手術後に発症したAPEを3例経験した. 3例とも高度の肥満を認め, 2例は抗リン脂質抗体症候群を合併していた. 最近の1例は弾性ストッキング, 間欠的加圧装置により予防法を実施した1例であった. 広範囲な脳梗塞を合併した1例は, 脳ヘルニアにより死亡したが, 1例は経皮的心肺補助 (PCPS) 下にカテーテル治療を行い, もう1例は一時的下大静脈フィルターを挿入後, 抗凝固療法を施行し, 救命し得た. 消化器外科手術では周術期の臥床, 悪性腫瘍, 骨盤内操作, 腹腔鏡手術時の気腹などがAPEのリスクファクターであるが, 症状, 所見にも特異的なものが少ないことから, 周術期の合併症として常にAPEを念頭におき, 重症例には時期を逸せずにPCPSを導入し, 循環呼吸管理を行うことが大切である.
  • 中村 学, 石坂 克彦
    2004 年 24 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は61歳の男性で, 腹痛, 嘔吐を主訴に来院した. 右下腹部に圧痛を認めたことより, 急性虫垂炎を疑い腹部超音波検査を行ったが, 虫垂ははっきりしなかった. 入院後抗生剤投与にて経過をみていたが, 腹痛の増強と悪寒を伴う高熱が出現したことより, 血液培養と腹部CT検査を行った. 腹部CTで腫大した虫垂と, 虫垂内腔にバリウム石とガスを認めたが, 腹水はなかった. 急性虫垂炎と診断し, 緊急手術を行った. 術中所見では, 先端に壁内出血を伴う腫大した虫垂を確認でき, 虫垂には穿孔を認めなかった. 病理組織診断は, 壊疽性虫垂炎であった. 血液培養と虫垂内腔の膿培養よりE. coliが検出された. 非穿孔性虫垂炎に敗血症 (sepsis) を合併した報告例は少なく, 虫垂内腔のガスのため腹部超音波検査では虫垂を描出することができなかったと考えられた.
  • 前田 啓之, 豊田 暢彦, 本坊 拓也, 岩永 幸夫
    2004 年 24 巻 1 号 p. 109-113
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    回腸脂肪腫を先進部とした成人腸重積症の1例を経験したので報告する. 症例は71歳, 男性. 腹痛を主訴に来院した. 腹部単純X線写真にてイレウスと診断した. 腹部CTにて同心円状の小腸嵌入像を認めた. 先進部と思われる部位に低吸収域を呈する腫瘍が存在し, これによる腸重積を疑い同日緊急手術を施行した. Treitz靱帯から340cmの部位で回腸が5cmにわたり重積していた. 用手的に整復後, 先進部には2cm大で広茎性の隆起性病変を認め, 回腸部分切除を施行した. 組織診断にて良性の脂肪腫と診断され術後経過は良好であった. 成人の腸重積症は全腸重積症の5~10%程度と比較的まれである. 小腸腫瘍も比較的まれな疾患であり, 従来から術前診断は困難とされる. 診断においてはCT検査が極めて有用であった.
  • 大澤 英寿, 高橋 均, 坂田 育弘, 赤埴 吉高, 田中 大吉
    2004 年 24 巻 1 号 p. 115-118
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    急性腹症を契機に入院時の緊急画像診断で術前に確定診断し得たまれな回腸重複症の1例を経験したので報告する. 症例は42歳の男性. 急性腹症の診断で近医より開腹手術目的で紹介入院となった. 術前に施行した腹部超音波検査で小腸腸管重複症が疑われた. 腹部CT検査と上腸間膜動脈造影検査で回腸重複症と確定診断した. 開腹手術所見で隣接回腸と交通を有する管状の重複腸管がみられ, 内腔は異所性胃粘膜を認める小腸粘膜で覆われていた. 本例は重複腸管において内容物の停滞から炎症をきたし, 嚢胞壁の拡張を起こしたため, 急性腹症の症状を呈したものと思われる.
  • 矢田 章人, 黒田 暢一, 岡田 敏弘, 竹内 雅春, 山中 潤一, 飯室 勇二, 藤元 治朗
    2004 年 24 巻 1 号 p. 119-123
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    慢性骨髄性白血病で巨大な後腹膜腫瘤形成の報告は少ないが, 巨大な後腹膜腫瘤および脾腫により多臓器不全となったが緊急手術を行い救命し得た症例を経験したので報告する. 症例は26歳の男性で, 慢性骨髄性白血病の診断の下に血液内科にて化学療法が行われていた. 著明な脾腫と巨大な後腹膜腫瘤が生じ, 腹部膨隆が日ごとに増強し, 呼吸および腎不全状態となって当料に紹介された. 呼吸不全に対し人工呼吸管理を行ったが呼吸状態はさらに悪化した. さらにショック, 多臓器不全となったが, 救命目的に脾臓摘出および後腹膜腫瘤摘出術を施行した. 術後11日間の集中管理を要したが全身状態は改善し, 内科転科化学療法後退院した. 化学療法後に, 外科治療が救命のみならず寛解への橋渡しとして重要な役割を果たしたと考えられた.
  • 急性虫垂炎の1例
    小鹿 雅博, 佐藤 信博, 八重樫 泰法, 鈴木 泰, 小野寺 誠, 斎藤 和好, 遠藤 重厚
    2004 年 24 巻 1 号 p. 125-128
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2011/06/03
    ジャーナル フリー
    重症血友病A患者に発症した急性虫垂炎の緊急手術を経験した. 症例は25歳男性, 下腹部痛を主訴に受診し, 虫垂炎および盲腸周囲膿瘍と診断された. Abildgaardらの予測式に基づいて第VIII因子製剤 (octocogalfa) を用いて術前から術後1病日までの第VIII因子活性を80~100%に保った. 術後3病日の第VIII因子活性は20%で予測計算値を下回った. 術後3病日に施行したkinetics試験では, 投与直後の第VIII因子活性は予測値より高値であり, 理論半減期より早い低下を示していた. 周術期において第VIII因子の代謝は一定ではなく緊急手術の場合でも術後にKinetics試験を施行し投与量, 投与間隔を考慮すべきであると思われた.
  • 藤田 武郎, 西 英行, 間野 正之
    2004 年 24 巻 1 号 p. 129-132
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は68歳の男性. 剪定中に転落, 落下時に立てかけてあった剪定ハサミが右胸部に刺さり来院した. 来院時意識清明であったが, 右胸部からの小腸の体外脱出を認めた. 腹部CTでは明らかな肝損傷, 大血管損傷は認められず経胸腔体外小腸脱出を伴う外傷性横隔膜ヘルニアと診断し緊急手術を行った. 手術所見では, 右横隔膜は肋骨付着部付近で断裂されおり回腸の穿孔を回腸末端部から10cm, 20clnの口側の2ヵ所に認めたが, 肝および右肺には損傷はなく, 小腸を部分切除, 横隔膜を直接縫合閉鎖しダグラス窩, 各横隔膜下, 右胸腔に閉鎖式ドレーンを留置し手術を終了した. 術後の経過は良好で, 現在外来にて経過観察中である. 本症例は直達外力刺創にて生じた小腸体外脱出を伴う右横隔膜ヘルニアであったが肝, 肺に損傷がなく比較的まれと考えられた.
  • 飯田 茂穂, 中川原 儀三, 太田 信次, 足立 巌, 石田 文生
    2004 年 24 巻 1 号 p. 133-136
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は69歳, 男性. 10年前より心房細動, 高血圧で当院内科通院中であった. 突然の腹痛で救急車にて来院した. 腹部全体に強い自発痛があり腸音蠕動の減弱, 上腹部に圧痛を認めた. 腹部CT検査で上腸間膜動脈に塞栓陰影を認め, 上腸間膜動脈造影検査にて, 上腸間膜動脈本幹は閉塞していた. 塞栓溶解療法を施行したが改善がみられず, 発症8時間後に手術を施行した. 小腸はチアノーゼを呈していたが, 壊死には陥っていなかった. 塞栓摘除術を施行した. 塞栓摘除術後の腸管の血流再開は十分でなく, second-look procedureの適応と判断し, 一度閉腹した. 塞栓摘除術より24時間後にsecond-look procedureを施行した. 小腸はTreitz靱帯より80cmから300cmにかけて壊死に陥っており, 小腸切除・端々吻合再建術を施行した. 術後経過は順調で, 術後31日目に退院した. 塞栓摘除術後の腸管の血流再開が不十分な場合は, second-look procedureを積極的に考慮すべきと思われた.
  • 湊 博史, 崔 聡仁, 海老原 良昌, 鶴田 宏史, 増山 守, 加藤 誠, 渡辺 信介
    2004 年 24 巻 1 号 p. 137-140
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は77歳, 女性. 腹痛を主訴に来院. 腹部CT検査にて骨盤腔内にfreeairと腹水を認めたため, 下部消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し緊急開腹術を行った. 開腹すると消化管に異常はなく, 子宮底部に5mm程度の穿孔部を認め, 膿汁が流出していた. 年齢と子宮の性状から子宮体癌が疑われたので, 両側付属器を含む子宮全摘術を行った. 病理組織学的には悪性所見は認めず, 子宮からの膿汁ではstretococcusを検出した. 高齢者のfreeairを伴う汎発性腹膜炎では下部消化管穿孔を考えがちであるが, 女性の場合, 子宮留膿腫穿孔も鑑別疾患の中に入れる必要があると思われた.
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