日本腹部救急医学会雑誌
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生体肝移植における真菌感染症対策
川岸 直樹藤盛 啓成里見 進
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2004 年 24 巻 1 号 p. 57-65

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抄録
生体肝移植の周術期における真菌感染症対策について概説する. 生体肝移植は脳死肝移植と違い基本的には待機手術であることより, 術前からの真菌症対策が可能であることが多いため, さまざまな試みがなされてきた. 術前では各種監視培養, 血中抗原検査などにより上気道, 腸管, 尿路などの真菌を除菌しておく. 術中は固有肝, 吻合腸管の監視培養をし, 術後においても予防的抗真菌薬の投与, 監視培養, 血中抗原検査などを行い厳重な感染管理を行う. 起炎菌としてはCandidaが最も多く, Aspergillus, Mucor, Cryptococcusなどもみられる. Aspergillusによる髄膜炎は致死率が高く注意が必要である. 移植後致死的となる重大な感染症の一つである深在性真菌症の診断には, 発熱などの臨床所見, 単純X線, CTなどの画像所見のほか, β-Dglucan, Aspergillus抗原, Cryptococcus抗原, PCR法などによる補助診断が有用である. 治療はfluconazole, amphotericin B, miconazole, micafunginなどを用いる.
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