日本腹部救急医学会雑誌
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小児鈍的腹部外傷における外力の特徴と損傷臓器との関連性
矢野 常広高松 英夫野口 啓幸田原 博幸加治 建菊池 二郎田中 紘輝
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2004 年 24 巻 3 号 p. 589-593

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抄録
腹部外傷は鈍的外傷と鋭的外傷に分けることができる。鋭的外傷は受傷範囲が限局することが多く, 損傷臓器の特定を行いやすい。一方, 鈍的外傷は受傷転機により損傷臓器は大きく異なり, 初期治療で損傷臓器を推定することが困難なことがある。本稿では鹿児島大学小児外科および鹿児島市立病院小児外科・外科で経験した小児鈍的腹部外傷症例30例を対象として, 外力の相違により損傷臓器にどのような違いが生ずるかを検討した。鈍的外力を線的外力による受傷群: A群と, それ以外の外力 (主には面的外力) による受傷群: B群の2群に分けて両群間の相違を検討したところ, A群では管腔臓器や膵蔵の損傷が多く合併損傷が少ないが, B群では肝臓や脾蔵などの実質臓器の損傷が多く, 合併損傷も多いことが判明した。受傷機転の詳細な把握が小児鈍的腹部外傷の損傷臓器推定, 診断, 治療計画の策定の第一歩であると考えられた。
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