抄録
1994年4月から2003年2月までのステロイド投与患者における腹部緊急手術10例を対象とした。ステロイド投与適応疾患は関節リウマチ5例, アレルギー性血管炎2例, 潰瘍性大腸炎1例, 血液疾患2例であった。1日平均ステロイド内服量は24mgであった。ACTH, コルチゾールはやや低値を示した。腹部救急疾患は消化性潰瘍穿孔4例, 小腸穿孔2例, 腸閉塞1例, ステロイド不応性潰瘍性大腸炎1例, 結腸穿孔2例であった。術式は胃切除1例, 大網充填3例, 小腸切除2例, 回盲部切除1例, 大腸全摘+人工肛門1例, 人工肛門2例であった。ステロイドの補充を9例に行った。術後合併症は7例 (70%) にみられた。手術部位感染7例, 敗血症4例, 創移開2例, 上部消化管出血2例であった。手術関連死亡は3例 (30%) であった。ステロイド投与患者では腹痛など症状が出にくい反面, 全身状態は次第に悪化していくことから, 早い時期に手術に踏み切ることが肝要である。