抄録
症例は80歳, 女性. 平素より便秘傾向が認められていた. 5日ぶりの排便ののち発症した急激な腹痛のため救急受診した. 腹部CT上free airが認められ, 消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断された. 緊急開腹を施行したところ直腸Rsに直径4cmの楕円形の穿孔部を認めた. また穿孔部周囲の直腸壁は壊死しかけており, 口側の結腸内には硬便が充満していた. 穿孔部を含むようHartmann手術を施行した. 切除直腸の病理検査では穿孔部は好中球の浸潤が著明で虚血性の変化を呈しており, 術中所見, 病理所見から宿便性大腸穿孔と診断した. 通常, 宿便性大腸穿孔は便秘の経過中に見られることが多いが, 本例は排便を認めた点において非典型的であった.