日本腹部救急医学会雑誌
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十二指腸潰瘍穿孔を合併した上腸間膜動脈症候群の1例
佐藤 暢人加藤 紘之
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2004 年 24 巻 4 号 p. 833-836

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抄録
上腸間膜動脈症候群 (superior mesenteric artery syndrome: SMAS) では, 消化性潰瘍合併の頻度が高いといわれている. 今回われわれは, 十二指腸潰瘍穿孔を合併したSMASの1例を経験した. 症例は25歳男性. 腹痛と嘔気を主訴に来院. 既往に腹腔内膿瘍の手術歴あり. 心窩部に圧痛を認めた. 上部消化管造影検査, CT検査によりSMASと診断し, 保存的治療を行った. 腹部症状は軽快し, CT検査での十二指腸拡張像も認めず経過した. また, 上部消化管内視鏡検査で活動性潰瘍は認めなかった. 入院後12日目に突然腹痛の訴えが強くなり, CT検査でSMASの再発が疑われた. さらに翌朝, 急激な腹痛の増強を認めた. CT検査, 上部消化管内視鏡検査の結果, 十二指腸潰瘍穿孔と診断し, 大網充填術を施行した. SMASの保存的治療中に腹痛が増強した際には, 消化性潰瘍の合併とその急性増悪を念頭に置く必要があると考えられた.
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