日本腹部救急医学会雑誌
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S状結腸捻転術後, 急激な経過をたどった悪性症候群の1例
安 柄九大垣 雅晴泉 浩竹中 温柿原 直樹飯塚 亮二北村 誠
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2004 年 24 巻 4 号 p. 837-840

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抄録
今回われわれは, S状結腸捻転に対する緊急手術の術後に, 悪性症候群を発症し, 急激な経過をたどり死亡した1例を経験したので報告する. 症例は54歳男性. 18歳より統合失調症にて入院加療中, 突然の嘔吐, 腹痛を主訴に当院へ救急搬送された. 腹部単純X線検査・腹部CT検査では拡張したS状結腸を認めた. 緊急開腹手術を施行したところ, S状結腸は著明に拡張し, 時計回りに180度捻転していた. 術後5日目白血球数は正常化していたにもかかわらず40℃台の稽留熱, さらに錐体外路症状を認めたため, 悪性症候群と診断した. 大量輸液療法, および全身冷却療法にて対応したが, 心肺停止となり, 術後5日目に死亡した. 剖検では全身臓器および骨格筋には病理組織学的所見は認められなかった. 抗精神病薬, 抗うつ薬内服中の患者において解熱薬抵抗性の高熱を認めた場合, 悪性症候群を念頭におく必要があると考えられた.
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