日本腹部救急医学会雑誌
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術前診断が可能で低侵襲手術 (MIS) を行った玉こんにゃくによる食餌性イレウスの1例
福田 直人和田 浄史高橋 茂男田村 義民
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2004 年 24 巻 5 号 p. 939-943

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抄録

症例は74歳, 女性.下腹部痛と嘔気を主訴にイレウスの診断で当院に緊急入院となった.病歴聴取により発症2日前に玉こんにゃくを咬まずに飲み込んだことが判明した.腹部単純X線撮影およびCT検査で管腔内に腸液とガスが充満し, 全体的に拡張する小腸像を認めた.当初, 経鼻胃管により保存的治療を開始したが軽快しないため, 4日目にイレウス管挿入し5日目に小腸造影を行った.その結果, 回腸に玉こんにゃくが詰まってイレウスの原因となっていることが判明したため, 同日緊急開腹術を施行した.気管支喘息という基礎疾患を有することおよび閉塞部位が下腹部に限定されたことより, 腰椎麻酔+硬膜外麻酔下に下腹部の5cm小開腹で低侵襲手術 (minimally invasive surgery: MIS) を行った.回盲弁より10cmの回腸に4×3×2cm大の玉こんにゃくが詰まっており, 同部の小腸を切開して摘出した.術後, 23病日で軽快退院となった.文献的考察も含め報告する.

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