日本腹部救急医学会雑誌
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上行結腸気腫性腸炎の1例
伊東 功中村 知己元宿 めぐみ幕内 博康山崎 等猪口 貞樹
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2004 年 24 巻 7 号 p. 1169-1172

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抄録

症例は19歳, 女性。急性薬物中毒による意識障害の診断にて緊急入院となる。入院後, 輸液療法にて意識状態の改善を認めたが, 意識状態の改善に伴い腹痛を訴え, 身体所見上腹膜刺激症状を認めた。血液検査にて白血球上昇を認め, 腹部CT検査にて門脈内と上行結腸に気腫像を認めた。以上より, 気腫性腸炎による汎発性腹膜炎が強く疑われ, 緊急手術を施行した。術中所見として, 上行結腸に広範囲な腸管の変色を伴う気腫像を認め, 腸管壊死の可能性が否定できないため, 結腸右半切除術を施行した。切除標本上, 上行結腸粘膜面は肉眼的に発赤腫脹しており, 表面は凹凸不正であった。組織診断においては, 出血と浮腫が著明で, 多くのグラム陽性桿菌が壊死を起こした粘膜下組織内に散在していた。以上より, 本症例はなんらかの原因で腸管の虚血が生じ, 二次的にガス産生菌による気腫性腸炎を併発した可能性が示唆された。

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