2005 年 25 巻 3 号 p. 579-583
われわれは, 外傷性脾臓損傷に対し脾摘・自家移植術を施行し, 脾臓シンチグラフィーで生着を確認した症例を経験したので報告する。症例は14歳, 男性。バスケットの試合中にほかの選手と衝突し, 膝が腹部を直撃した。腹部超音波検査, 腹部CT検査の結果, 日本外傷学会分類IIIc型脾損傷と診断し緊急手術を施行した。脾門部および上極に複雑型の実質損傷を認め, 脾摘出術・自家移植術を施行した。術後経過良好で13日目に退院となった。術直後と3ヵ月後の脾臓シンチグラフィーを比較し集積の増加を認めた。シンチグラムの集積像は, 異所脾または外傷種まきの存在で, 自家移植を施行しなくても出現することが報告されており, IgG, IgMの正常化も生着度をみる指標として重要と考えられる。