2006 年 26 巻 3 号 p. 455-458
症例は79歳, 女性. 右下腹部痛のため当院を受診した. 腹部は, 右下腹部に圧痛が著明であり, 筋性防御を認めた. 血液検査では, 軽度のCRPの上昇を認めた以外に異常は認めなかった. MRIにて磁性体による消化管穿孔および限局性腹膜炎の診断で, 緊急開腹術を施行した. 術中に右鼠径ヘルニアを認め, ヘルニア嚢内に針金を認めた. 回腸部分切除を施行し, 右鼠径ヘルニアに対しては, 二期的に手術を施行した. 針金による回腸穿孔の1例を経験し, 鼠径ヘルニアが消化管穿孔に関与したと考えられたので報告する.