2006 年 26 巻 5 号 p. 611-616
救急医療において遠隔地域医療との連係の構築は, 重要な課題である. 今回, 遠隔地域の主治医よりEメールで画像を伝送しセンターに従事する放射線科医に読影を依頼することで, 同日に搬送決定し速やかな対処を行い救命可能となった症例を経験した. 遠隔地画像伝送システムの存在しない施設においては, 時間と場所を選ばないEメールは有用な手段と思われる. 救急医療では, 搬入前の傷病者情報が得られた時に治療が開始されているといっても過言ではない. 救急医療の現場からの搬入前情報としてデジタルカメラとデジタル携帯電話を用いた画像伝送システムを構築したが, 本システムは口頭伝達のみならず救急現場の情報を視覚にても把握することで患者の状態を予測するのに有用な方法と思われた. 画像伝送には個人情報保護の問題が存在するため, プライバシー保護の配慮が必要であるが, 今後発展する領域と思われた.