日本腹部救急医学会雑誌
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救急センターにおける電子カルテシステムの運用
古嶋 薫大塚 裕一奈良 智之野家 環伊藤 契針原 康小西 敏郎
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2006 年 26 巻 5 号 p. 621-631

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抄録

電子カルテの出現は, 救急医療においてもさまざまな恩恵をもたらしている. とくに画像診断が必須の腹部救急では, 以下の点で大きく貢献している. 1. 情報伝達が, 早く, 確実である. (1) 当院受診歴があれぼ診療情報をすぐに閲覧できる. (2) 短時間に効率よく検査オーダーでき, 検査結果の収得が早い. (3) 過去の検査データも瞬時に検索できる. 2. 画像情報がすべて画面に出る. (1) 各種検査の画像を直に閲覧し, 過去とも比較できる. (2) 検査結果報告を参照できる. 3. 注射, 処置のオーダーの煩雑さが解消される. (1) 救急処置を症状別にセット化, 症状別の注射のセット化で指示の時間短縮ができる. 4. 情報の共有化 (1) 現場にいない医師も情報を共有できるため的確な診断, 治療ができる.5. リスク管理に役立つ. 一方で今後検討を要する課題 (1. 受診歴がある患者への二重ID付与2. 緊急, 繁忙時の検査・処置オーダー, 診療記録のタイミング3. 他院との診療情報のOn-line化) も残されている.

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