日本腹部救急医学会雑誌
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完全IT化病院における情報システムの腹部救急診療への貢献
杉山 保幸松橋 延壽坂下 文夫高橋 孝夫
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2006 年 26 巻 5 号 p. 637-641

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抄録

岐阜大学医学部附属病院は2004年6月1日よりペーパーレス・フィルムレスの完全電子カルテ化による診療を開始すると同時に, 病院内外の重症救急患者の集中治療を行う目的で30名の医師および80名の看護師で構成される高次救命治療センターも新設されたそこで, この新しい情報システムの腹部救急診療における貢献度について検討し, 以下の結果を得た. (1) 血液・尿検査結果, 放射線画像検査結果が30分以内に判明し, 診断確定までの時間が短縮された. (2) 病歴や血液データ, 画像所見が院内のどの端末からでも閲覧可能なため, 患者情報の共有が容易にでき, 救急担当医と消化器外科医との意見交換が迅速に進んだ. (3) 緊急手術時に, 麻酔医や手術室看護部門への情報提供がリアルタイムに行えた. 以上のことから, ペーパーレス・フィルムレスの完全電子カルテ化病院における情報システムは良質な腹部救急診療を迅速に遂行するための有用なツールであると考えられた.

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