2006 年 26 巻 5 号 p. 643-648
いま電子カルテを導入する病院が増えているが, 不満や疑問も聞こえてくる. そこで, 2000年12月に電子カルテを導入し, 以後5年以上にわたり完全なペーパーレス・フィルムレスでスムーズに診療を行っているNTT東日本関東病院で, 病院の診療が実際にどのように変わったかを紹介した. 電子カルテでは, カルテ内容がすべてのヒトに容易に解読でき, 診療時間は速くなり, カルテ・フィルム・伝票の捜索や運搬・添付などの業務は不要となり, またカルテやフィルムの保存スペースは不要となり, 医療従事者同士の意思疎通は良好となり, そして安全な医療へと展開できる. さらに, モニター画面を通じて正確に医療内容を患者さんに説明することで, 医師・看護師と患者さんとの相互の信頼関係が増す. まさに電子カルテは, 21世紀に求められる患者さん中心の医療体制へ病院が変革してゆくのに必要不可欠なツールであるといえる.