日本腹部救急医学会雑誌
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膵仮性嚢胞破裂により腹腔内出血を呈した1例
山本 雄豊高橋 均大澤 英寿坂田 育弘
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2006 年 26 巻 5 号 p. 687-690

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抄録

膵仮性嚢胞破裂により腹腔内出血を呈した1例を経験した. 症例は41歳の女性. 40歳時にアルコール性膵炎で近医入院. 膵仮性嚢胞を指摘され, 外来通院加療となる. 上腹部および背部痛を認めるも放置. 疼痛増強するため4日後に近医受診し, 上腹部に腫瘤を認め, 腹膜刺激所見を伴っていたため, 同日転入院となる. 腹部造影CTにて膵仮性嚢胞内に造影剤漏出所見と脾周囲血腫を認めたため, 膵仮性嚢胞破裂と診断し, 緊急手術を施行した. 開腹所見では, 血性腹水を約600ml認めた. 嚢胞は膵尾部を中心に存在し直径約10cmであり, 周囲組織と強固に癒着しており辺縁は不整であった. 嚢胞と膵尾部合併切除を施行. 出血の原因は, 慢性炎症の急性増悪に伴い嚢胞内圧が上昇したため, 嚢胞内の表在性血管が損傷したことによると考えた.

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