日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
宿便性大腸穿孔の1例 -エンドトキシン吸着療法の効果-
福田 直人和田 浄史高橋 茂雄高橋 克之仁木 径雄
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 26 巻 6 号 p. 779-783

詳細
抄録
症例は74歳, 女性。下腹部痛と嘔吐を主訴に当院に緊急入院となった。腹部全体に筋性防御を認め, CTにて腹腔内広範囲に遊離ガス像がみられ, 消化管穿孔による汎発性腹膜炎の状態であった。さらに血液検査で白血球減少を伴っていることより, 大腸穿孔を疑い緊急開腹術を施行した。S状結腸に母指頭大で辺縁鋭な類円形穿孔を認め周囲の腹腔内に硬便が散乱しており, また穿孔部口側上行結腸まで硬便が充満していたため宿便性大腸穿孔と診断し, S状結腸切除+人工肛門造設術を行った。術直後の採血で白血球減少続いていたため, 同日エンドトキシン吸着療法を実施した。その結果, 翌日には白血球正常化し, とくに呼吸不全や創部感染などの合併症起こさず29日目に軽快退院となった。大腸穿孔で術前より白血球減少を伴う症例に対しては, エンドトキシン吸着療法がとくに術後の経過に有効であると考えられた。
著者関連情報
© 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top