日本腹部救急医学会雑誌
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上部消化管穿孔に対する腹腔鏡手術例の検討
福田 直人和田 浄史高橋 茂雄仁木 径雄三浦 康誠
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2006 年 26 巻 7 号 p. 855-858

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抄録

過去13年間に上部消化管穿孔で腹腔鏡手術を施行した胃穿孔17例と十二指腸潰瘍穿孔36例に関して臨床的検討を加えた。胃穿孔の病因は潰瘍14例, 胃癌2例, 悪性リンパ腫1例であった。12例 (70.6%) に腹腔鏡下大網被覆術が可能で平均手術時間78分, 平均入院日数16日であった。5例が開腹術に移行し, 広範胃切が1例に開腹大網被覆が4例に施行された。一方, 十二指腸潰瘍穿孔では36例中32例 (88.9%) に腹腔鏡下大網被覆術が行われ, 平均手術時間61分, 平均入院日数14.8日という成績であった。とくに十二指腸潰瘍穿孔例では, 穿孔性腹膜炎を確実に治せるという点およびminimally invasive surgeryという点で腹腔鏡下手術は効果的と考えられた。ただし保存療法も適応を限定すれぼ有効なので, 症例に応じて治療手段を選択することが重要であると思われた。

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