日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
初回手術大量出血後, 二期的に切除した骨盤発生Solitary fibrous tumorの1例
山田 卓也關野 考史松尾 浩井原 頒木村 真樹木山 茂竹村 博文
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 26 巻 7 号 p. 889-892

詳細
抄録

症例は43歳の女性。腹部膨満のため近医を受診し, 後腹膜腫瘍の診断で腫瘍摘出術をうけた。その際11Lの術中大量出血から止血困難となり, 骨盤底へのガーゼ圧迫, 腫瘍非切除の状態で閉腹後, 当院へ搬送された。手術侵襲からの回復を待って2度目の手術を行う予定としたが第5病日に腫瘍とガーゼ圧迫による腸骨静脈血栓と肺塞栓を認め, 肺動脈内血栓吸引・下大静脈フィルター留置後, 第12病日に再度腫瘍摘出術を行った。術中大量出血に対する対策として, 緊急心肺補助装置用に左鎖骨下動脈へ人工血管を縫着した。開腹後, 前回手術時に挿入されたガーゼと腫瘍を, 可及的速やかに摘出した。術中出血量4, 367ml, 赤血球濃厚液8単位輸血で手術を終了し, 結果的にPCPSは使用しなかった。摘出した腫瘍は19×12×8cm, 1, 099g, 免疫組織染色の結果solitary fibrous tumorと診断した。術後経過良好で退院し, 12ヵ月目の現在無再発生存中である。

著者関連情報
© 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top