マルチメディアに代表される新技術は、新しい質の良いリテラシーを要求する。この論文では、この10年ほどの間になされた研究を次の視点で考察した。(1)視聴能力の構造、(2)視聴能力の発達、そして(3)視聴能力の形成。これらはメディア・リテラシーの基礎研究ともいえる。その後の研究では、映像の読解力を重視すると共に、操作能力や表現・発信する能力にも重点をおくようになってきた。そのためにメディア・パッケージやカリキュラムの開発を行って、長期的で計画的な実践研究が、東京や金沢で進められてきた。また、マルチメディアの疑似体験と直接体験との出し入れの問題、テレビ番組比較視聴を通じての批判的視聴能力の基礎研究など、最近の研究を考察する中で、近未来の研究の方向を示唆した。