教育メディア研究
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「ズーム」に見る行動的視聴を促進する番組制作 : アメリカボストン公共放送局の教育番組制作スタンス
赤堀 正宜
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 12 巻 1 号 p. 31-41

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抄録

教育番組制作者のねがいを理解することによって,番組利用の効率を高めることが可能である。一方,視聴者のねがいを番組に反映させることが番組制作の王道である。この両者は番組制作の表裏であるが,最近双方向コミュニケーションメディアの発達によって両者の願いを統一することが容易に行えるようになってきた。本論文は米国の教育番組制作局の雄であるボストン公共放送局(WGBH)の教育番組制作のスタンスを「行動的視聴の促進」に置くものとすることによって,教育番組制作の特色を明らかにすると同時に,双方向性メディアの活用によって教育番組に新しい生命を吹き込んでいる姿を紹介する。教育番組は,児童に「考える行為」を誘発するものではなくてはならない。このことによって児童は,新しい思考力と想像力を生み出すのである。行動的視聴は考える行為を生み出す視聴方法と考えられている。「ズーム」はWGBHが1970年に開発し,その後30年にわたって制作し続け全米の公共放送局から放送されている小学校児童向け科学番組である。2001年NHKで開催された日本賞教育番組国際コンクールで,ウエブ賞を受賞した。

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© 2006 日本教育メディア学会
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