2008 年 14 巻 2 号 p. 55-75
インターネットを活用した学習と対面の学習を組み合わせたBlended learningは,世界的な規模で普及の途にあり,伝統的な大学教育に変化をもたらしつつある。そのような状況において,オンラインによる効果的な教育活動を設計・実施するための知識や技術は大学教員にとって欠かせない能力の一つとなった。Blended learningにおいては,いかにオンラインで円滑なディスカッションを展開するかが重要となってくる。そのような円滑なオンラインディスカッションを支援(moderate)するための方略,つまりe-moderating方略をいかに適切に設計し,実施するかという観点から,本研究はSalomonの5段階モデル(five-stage model)の有効性について検証し, Blended learningという文脈に合うような修正モデルを提案し,将来の課題について検討する。Salomonのモデルを検討するにあたっては, 60名の学生と,円滑なオンラインディスカッションを支援する2名のe-moderatorから得られた量的,および質的なデータを用いた。