抄録
子どもによるテレビの単独視聴が増加の傾向にあるが,単独視聴は限られた価値判断でのテレビ理解を招く。子どもがより良くテレビを理解するためには,親が一緒に視聴し,子供に対して介入することが必要になると考えられる。本研究では,ニュースを批判的に視聴する力「ニュースに対する批判的思考」尺度を作成し,保護者会において親に対してメディア・リテラシーの講座を行い,小学6年生のテレビ視聴に対する介入を促し,この講座の実施前後での,変化を測定することにより,親の介入の効果を検証した。結果,間接的な実験による介入の効果に有意な差はみられなかったが,実験前に行った調査の結果,親によるテレビ視聴時の子どもへの介入と,子どもの批判的思考に相関関係があった。つまり,日常的に親が介入を行っている家庭ほど,子どもがニュースを批判的に視聴していることがわかった。