教育メディア研究
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ユネスコ「教師のためのメディア情報リテラシー・カリキュラム」の 日本での実践における課題
和田 正人森本 洋介斎藤 俊則
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 21 巻 2 号 p. 11-24

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抄録

2014年2月8日に本学会の「国際連携・国内連携における教育メディア研究」ワークショップが開催された.そこでは,「越境」の観点から,「教師のためのメディア情報リテラシー・カリキュラム」(ユネスコ 2011)についても討論された.そこで本稿では,ユネスコ「教師のためのメディア情報リテラシー・カリキュラム」を日本での教師教育に導入するための課題を明らかにすることを目的とした.そのために,このカリキュラムを教師教育に用いるための課題,さらにリプレゼンテーション概念の理解と記号論についての検討,そして実践について検討を行った.その結果日本ではメディア情報リテラシー概念の理解が不十分であり,その理解を教員養成課程と現職教師への研修を通じて促進する必要があること,特にメディア情報リテラシーのコア・コンセプトであるリプレゼンテーション概念を理解するためには,その学問的背景である記号論の主旨をふまえた学習が必要であった.そしてこのカリキュラムを用いた映画・ドラマ比較の実践では,リプレゼンテーションの分析により越境のレベルが中位になったことが示された.したがって,ユネスコ「教師のためのメディア情報リテラシー・カリキュラム」を日本での教師教育に導入するための課題には,メディア情報リテラシーの概念の理解の問題があり,そこでリプレゼンテーション概念の学習が必要であり,その一部は実践によって解決される可能性があることが明らかになった.そこで,日本の教員養成課程でもこのカリキュラムを用いることの可能性を示すことができた.

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© 2015 日本教育メディア学会
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