抄録
本研究の目的は,保護者が考える幼児のICT利用の功罪尺度を作成し,その概念を明確化し,指標化した上で,コロナ禍前後におけるオンライン保育体験の影響を検討することであった。幼児の保護者を対象とした質問紙調査を実施し,探索的因子分析を行った結果,保護者の認識尺度は,「ICTへの依存」,「知的好奇心の向上」,「知覚・認知機能の向上」,「不適切アクセス」,「保護者不在時のトラブル」,「時流に乗る」,の6因子24項目から構成された。さらに,オンライン保育を体験した群としていない群で,その認識尺度を比較した。その結果,オンライン保育体験群は,2因子においてデメリットとしての認識が弱まり,他2因子においてメリットとしての認識が強まった。この結果により,保護者が考える幼児のICT利用の功罪の捉え方は,幼児のICT利用によって変容することが明らかとなり,幼児の適切なICT使用の経験や保護者対象の教育の重要性が議論された。