抄録
近年,ウェルビーイング教育へのニーズが高まってきている。本研究では,教材としての有用性が既に認められている商業映画をウェルビーイング教材の一つとして活用するための第1段階として,映画鑑賞態度尺度(CVAS:Cinema-viewing Attitudes Scale)を作成した。その結果,映画鑑賞態度尺度は【知的経験】と【娯楽】の2因子で構成された。映画鑑賞態度尺度と鑑賞頻度,ジャンルの好みとの相関分析の結果,因子それぞれの特徴が見られた。また,「あなたにとって,映画とは一言でいうと何ですか?」の自由記述を用いたテキストマイニングでは,「人生」という言葉が1番多く使われており,文脈からも商業映画鑑賞とウェルビーイングの関連がうかがえた。さらに同質問で【知的経験】得点が高い者の回答には,「教える」という特徴語が見られ,商業映画を人生について学ぶ教材として観ようとする映画鑑賞態度が存在することがわかった。