教育メディア研究
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「映像と言語」概念再考 : 視聴覚教育概念の再構築のために
小笠原 喜康
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ジャーナル オープンアクセス

1999 年 5 巻 2 号 p. 32-45

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抄録

映像と言語は、視聴覚教育論の世界でしばしば相容れない異なる概念として論じられてきた。しかしその関係を少し厳密に問うと、これらが必ずしも相互に独立して存在できるものではないことが明らかとなってくる。記号という次元でこの両者を検討するならば、これらは意味の明瞭さの軸の上での相対的なものにすぎず、相互に完全に相手を排除できるものではない。すなわち同じ一つの記号が、解釈者にとってその意味がより曖昧なときに映像とみなされ、より明瞭なときに言語とみなされる。このことを理解することは、私たちの研究を無駄なものにしないために必要である。というのも、そうでなくては、映像の教育作用を論じているつもりが言語の働きを問題にしていることになっていることに気づかないという事態を招くからである。そればかりでなくこのことはさらに、従来の教育工学的視聴覚教育の概念に大きな変革を迫ることになる。

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© 1999 日本教育メディア学会
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