2001 年 8 巻 1 号 p. 35-46
学校教育段階に配慮したハイパーメディア教材利用を検討するために、生徒の認知的変容の実際を分析の対象とした事例調査を行った。中学生を対象とした市販歴史CD-ROM教材による事例調査では、「概念地図法」を利用して、生徒がハイパーメディア教材を学習する前と後に、概念地図を作成するようにした。そして、その概念地図上の命題的な意味の変容を分析の対象とした。その結果、生徒によって変容の程度が異なっても、従来の教授・学習活動では得られなかった学習結果、「難構造化知識領域」の学習が容易であったことを確認した。なお、生徒の概念地図と教師の概念地図との比較・検討から、今後、学校教育におけるハイパーメディア教材が「難構造化知識領域」の学習のために、一つの有用な教授方法として模索されうることを指摘した。