2002 年 8 巻 2 号 p. 69-78
本稿は、家政系短期大学における映像作品の制作という試みを報告するとともに、その教育的意義について考察することを目的としている。12年間の授業内容や教育環境の変遷を振り返ると、当初、教養教育の手段として導入されたビデオ制作が、次第に専門性を強めていったことが確認できる。映像作品をつくる作業を通じて教養教育を行うという手法は、集団による創作活動というビデオ制作の特質が生かされ、一定の効果をあげたと考えられる。一方、家政系の学科で専門的な映像教育を行うことは、マルチメディアの大衆化という社会状況に対応する意義はあったものの、学生への動機づけや先端技術を教授する環境の整備、卒業後の進路など、難しい問題も含んでいた。