抄録
本研究は,高等教育における生成AI活用の一環として,大学初年次生を対象に実施した体験学修の成果を報告するものである。授業では,「不可視化文字(見えない文字)」や「ステガノグラフィ」(データ内に情報を隠蔽する技術)を活用し,AIに意図しない出力を生成させる「プロンプトインジェクション」の仕組みを体験的に学ぶ機会を提供した。具体的には,不可視化文字や音声ステガノグラフィを用いたプロンプトインジェクションの実践,およびChatGPTのAdvanced Data Analysis機能を利用した画像へのテキスト情報の隠蔽と抽出を行った。授業後のアンケート調査では,学生がAIの脆弱性やセキュリティリスクを実体験し,AIの出力情報を批判的に検証する必要性を実感したこと,また生成AIの利便性とリスクの両面について理解を深めたことが確認された。本研究は,体験学修を通じてAIリテラシーと批判的思考を同時に育成する教育モデルの有効性を示唆するものである。