日本教育メディア学会研究会論集
Online ISSN : 2435-0729
Print ISSN : 1344-8153
最新号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 平山 靖, 岩渕 寛, 飯田 和也
    2026 年61 巻 p. 1-8
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究の目的は,SSHで理数探究に取り組んだ生徒の成長の様相を明らかにすることである。SSHの事業を10年以上にわたって継続してきたZ高校で,2023年度から2〜3年の理数探究を履修した10名の生徒にインタビューを行い,その内容をもとに分析を行った。その結果,SSHの生徒には理数探究に対するモチベーションをもとに探究を進めたプロセスが見られた。探究に伴う困難さも生じていたが,探究を支えてくれた状況もあり,生徒の探究プロセスが進行した。その結果として,探究を通して感じた自身の変化や受験と探究の関係性や小中学校の探究的な学び方の違いについての認識をもったことが明らかになった。生徒が探究の困難さを感じながらも,それらを乗り越えて成長した姿から,研究をまとめる締め切りを設けたり,仲間・教師・社会との関わりを促進したり,探究を通して得られた喜びを感じさせたりすることが生徒に対する探究の支援方法として有効であることが示唆された。
  • 土井 国春, 堀田 龍也
    2026 年61 巻 p. 9-13
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,小学校の授業を対象とするGoogle WorkspaceとGemini APIを活用した児童の振り返り記述の分析支援システムの開発を試みた。具体的には,Googleフォームで収集した振り返り記述をシートに蓄積し,Google Apps Scriptを介してGemini APIに送信し,ルーブリックに基づく評価と理由を自動生成する仕組みを設計した。本発表では,研究の背景・目的・システム設計および算数科における実装例を報告する。
  • 福田 匡孝
    2026 年61 巻 p. 14-19
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は,グループディスカッションや探究活動等での生成AIによる議論の活発化を目的に,高等学校情報Ⅰでの実践について,その効果を検証することを目的とする。先行研究では,生成AIによる要約や可視化が思考整理や時間短縮に有効であることが示されているが,議論の深化への影響は十分に検証されていない。そこで本研究では,生成AIを用いた要約の有無による比較を行い,生徒の意見形成や議論の変化を分析した。実践は「デジタルと私たち」をテーマに,高校2学年生を対象として実施し,意見の収集・要約・共有後にグループディスカッションを行った。その結果,多くの生徒が要約を参考にし,意見の文字数の増加を確認することができた。
  • 小島 亜華里, 田島 祥, 登本 洋子, 細田 千尋, 堀田 龍也
    2026 年61 巻 p. 20-23
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は,子どもがつながりの中で自律的に成長することを促す教育プログラムの開発に向けた探索的研究として,離島の中学生を対象に社会的つながりに関する調査を実施した。事前に実施したアンケート調査をもとに,⑴部活動や習い事を通したつながり⑵オンラインでのつながり⑶身近な人とのつながり⑷地域について⑸将来についての5つの項目について,一人ずつの半構造化インタビューをおこなった。分析の結果,離島の中学生にとって,部活動や習い事をすることやオンラインでつながることは,島内の人間関係を強化することであると同時に,島内では出会えない人とのコミュニケーション機会であることが示唆された。また,離島という濃密な人間関係の中にいるからこそ,島内のつながりに求める安心感と島外のつながりに求める安心感を区別していることが示唆された。
  • 中尾 教子, 堀田 龍也
    2026 年61 巻 p. 24-29
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は,中高生が授業において生成AIを活用することに対して,教員養成課程の学生がどのような意識を持つかを明らかにすることを目的とした。2つの大学の教員養成課程の学生85名を対象に,2025年度後期に開講された「教育の方法及び技術(情報機器及び教材の活用を含む)」に相当する講義において,高校生が授業内で生成AIを活用する事例を提示した上で質問調査を実施した。調査では,中高生が授業において生成AIを活用することについて,教科別の活用場面や,助言・相談・フィードバック等の学習支援機能における利用に関して学生の意識を問うた。その結果,中高生が生成AIを活用することに対して,教員養成課程の学生の専攻教科による意識の差はみられなかった。一方で,活用頻度の高い学生ほど,中高生が特定の教科の授業で生成AIを活用することや,生成AIから助言・提案という支援を受けることについて肯定的な意識を持つことが示された。
  • 東京科学大学LAIプロジェクト
    加藤 由香里, 島崎 俊介, 浅山 拓哉, 門松 怜史, 山下 幸彦
    2026 年61 巻 p. 30-39
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    東京科学大学教育革新センター(CITL)では,TA業務に従事する修士課程・博士後期課程の学生を対象とした「未来の大学教員・専門職準備(Preparing Future Faculty and Professionals: PFFP)プログラム」を試行している。本プログラムでは,大学院生をラーニング・アシスタント(Learning Assistant: LA)として学内から募集し,STEM教育チームおよびコンテンツ開発チームの2チームを編成した。教職員との協働のもと,それぞれのチームが(1)STEM分野におけるTA研修のニーズ調査とプログラム設計,(2)TA研修内容のデジタル教材化に取り組んだ。本研究の目的は,理系大学におけるTA研修プログラムを教職員と大学院生の協働により設計・開発するプロセスを明らかにするとともに,その教育的意義を検討することである。そのために,LAの活動記録,成果物,振り返りデータをもとに,協働による学習プロセスを分析した。本稿では,CITL主導によるPFFPプログラムの試行的実践を報告し,TA研修の高度化に向けた協働設計の有効性と課題について論じる。
  • 及木 駿, 宇治橋 祐之
    2026 年61 巻 p. 40-46
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿では,NHK放送文化研究所が2025年10月に実施した「子どもと保護者のニュース接触に関するウェブモニター調査」のデータを用いて,中高生の基本属性およびメディア利用特性と,ニュース接触頻度との関連を探索的に検討した。目的変数として,ニュース接触頻度を高頻度群と低頻度群に二値化し,基本属性およびメディア利用に関する項目を説明変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。その結果,中学生と高校生に共通して,「学校以外での勉強時間」や「新聞」の利用,「親子での共同視聴」でニュース接触頻度と正の関連がみられた。特に「親子での共同視聴」は相対的に強い関連を示しており,中高生のニュース接触頻度において,保護者との関わりが重要な関連要因である可能性が示唆された。また,中学生では「テレビ番組」の利用に正の関連がみられる一方,高校生では「その他のインターネット動画サービス」や「TikTok」に負の関連がみられるなど,学校種による差異も確認された。
  • 大久保 紀一朗, 板垣 翔大, 佐藤 和紀, 泰山 裕, 三井 一希, 堀田 龍也
    2026 年61 巻 p. 47-54
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,次期学習指導要領における「情報の領域(仮称)」の新設を見据え,教員養成課程の学生209名を対象に,メディア・リテラシー(ML)に関する学習経験やメディアの基本概念,生成AIの理解度と,情報活用能力の指導イメージの関連を調査した。分析の結果,高校段階までの受動的なMLに関する学習経験は現在のメディアの基本概念の理解やMLに関する情報活用能力の指導イメージとの関連は限定的であった一方,生成AIの理解度は情報活用能力の指導イメージと有意な正の相関を示した。この結果から,テクノロジーに対する「適応的熟達者」としての教員養成の必要性を議論する。
  • 草本 明子, 野中 陽一, 相澤 昭宏, 中尾 教子, 山中 昭岳, 高橋 純
    2026 年61 巻 p. 55-62
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    生活科におけるICT活用の可能性を検討するための予備的調査として,無作為に抽出した2社の生活科教科書4冊を対象に,ICT活用場面を分析した。結果,教科書会社,上下巻ともに協働で1台の端末を活用する場面が多く見られた。また,両社とも操作行為は「撮影する」「提示する」「情報を参照する」の3操作に,認知的役割は「記録」「伝達」「共有」の3機能に集中しており,「何のために使うか」という機能的設計については教科書会社間の有意差が見られなかった。一方,学習活動について,A社は「話し合う」「観察する」,B社は「取材・探索する」「発表する」の割合が大きく,どの場面で使うかについては教科書会社間に有意差が見られた。さらに,端末の機能性を活かして体験の場で過去の記録とその場をリアルタイムに比較する活用が,生活科においてICT活用が生み出しうる学習機会の一つである可能性が示唆された。
  • 生成AIおよびAI要約に着目して
    小松崎 晴菜, 八木澤 史子
    2026 年61 巻 p. 63-70
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は,中学生を対象に,学習時に自分一人では解決できない問題やわからない問題に直面した際の援助要請や情報探索の手段の利用意向について,生成AIおよびAI要約を含むAIツールに着目して分析した。その結果,生成AIに比べてAI要約の方が有意に利用意向が高く,視認性の高さから,情報の真偽を十分に吟味せずに活用している実態が示された。また,自由記述の分析からは,教科書等が調べるための手段として捉えられていた一方で,AIツールについては,短時間で答えを得る手段として活用している様子も見られた。さらに,生成AIについては,AIによる出力を答えとして受け止めている記述も確認された。これらの結果から,情報技術の特性の理解が不十分なまま,AIによる出力を答えとして受け止めたり,情報を十分に吟味せずに活用したりすることが,援助要請や情報探索の質にも関わっている可能性が示唆された。
  • 水野 一成, 近藤 勢津子
    2026 年61 巻 p. 71-74
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    GIGAスクール構想の進展に伴い,児童・生徒が情報機器を用いた学習が普及している。本研究では,情報機器を活用した学習内容と,それに対する児童・生徒が感じる評価との関係を明らかにすることを目的とした。全国の小中学生を対象に行った調査結果を用い,学習に対する評価項目に対して因子分析を実施し,「効果的な学習」「不安・負担感」「学習行動の課題」の3因子を抽出した。さらに,GIGAスクールの具体的な授業内容(調べ学習,協働活動,発表等)と各因子との関連を検証した。その結果,情報機器を多様に活用した児童・生徒は「効果的な学習」を高く評価する一方で,「不安・負担感」も同時に高まる傾向が確認された。これは,情報機器を利用した授業を実施したからこそ「情報の安全性や情報真偽」に対する不安が現れるようになったのではないかと推測される。また,特に自己主導型の学習活動においては「学習行動の課題」が低下する傾向が見られた。これらの結果から,多様な情報機器の効果は多面的に現れることが示唆された。
  • 先行研究レビューとフェレス&ピスキテッリのメディア・コンピテンスに基づく整理
    村井 明日香, 柴田 隆史, 宇治橋 祐之, 齋藤 玲, 登本 洋子, 堀田 龍也
    2026 年61 巻 p. 75-84
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,縦型/ショート動画に関する先行研究の動向と研究テーマの傾向を整理し,フェレス&ピスキテッリ(Ferrés & Piscitelli 2012)のメディア・コンピテンス(media competence)を理論的枠組みとして,縦型/ショート動画に関するメディア・リテラシーの構成要素を試行的に検討した。Google Scholar を用いて英語・日本語文献を収集・分析した結果,2016年以降に縦型/ショート動画に関する研究が急増していることが確認された。さらに,計量テキスト分析を行った結果,英語文献ではプラットフォーム構造や動画依存,マーケティングに関する研究が多く,日本語文献では制作実践や地域・教育活動に関する研究が多いことが示された。これらの研究をメディア・コンピテンスで整理した結果,縦型/ショート動画のリテラシーとして,縦型特有の映像表現,アルゴリズム推薦,没入感,好意的感情の形成,親密性,独特の美的特徴等を理解する能力が必要であることが示唆された。
  • 書籍・ウェブ資料・生成AIを含む10種類の資料を対象として
    佐藤 和紀, 板垣 翔大, 大久保 紀一朗, 泰山 裕, 三井 一希, 堀田 龍也
    2026 年61 巻 p. 85-93
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    探究的な学びの充実や生成AIの登場により,ファクトチェックやメディア・リテラシーの重要性が高まる中,本研究は小学校中・高学年児童の参考文献の記述の実態を明らかにすることを目的とした。公立小学校27校の3年生から6年生まで計2,115名を対象に,図鑑,絵本,書籍,教科書,新聞,行政機関のPDF資料,新聞社ウェブニュース,学校放送番組ウェブページ,YouTube動画教材,生成AI生成画像の10種類の資料を提示し,参考文献欄への記述を求めた。その結果,著書名や発信元など資料を特定する中心的要素の記載には一定の傾向がみられた一方,ページ,発行日,URL,閲覧日,生成日等,所在や参照条件を示す要素の記載は低水準にとどまり,達成率は生成AIで最も低かった。学年別では,3年生から6年生にかけて記述量が増加し,6年生で最大となった。資料種別に応じた必要要素を統合して出典を明示する技能の育成に課題が残されていることが示唆された。
  • 曽根原 加果, 堀田 龍也
    2026 年61 巻 p. 94-98
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,自己調整学習の視点を踏まえた実践を行っている小学校教師10名を対象に,児童の振り返りに対する支援の実態把握を試みた。選択式の設問と自由記述式の設問の2問による質問調査の結果,全ての教師が振り返りを書けるようにするための支援と自己調整を促すための支援の両方を行っていることが確認された。振り返りを書くことが苦手な児童への支援について尋ねた自由記述式の設問の回答を,意味のまとまりに基づいて切片化した結果,振り返りを書けるようにするための支援は5カテゴリ,自己調整を促すための支援は4カテゴリの計9つのカテゴリが生成された。振り返りを書くことが苦手な児童への支援として得られた切片のうち,約7割が振り返りを書けるようにするための支援に分類された。また,両支援に<目安の提示>が共通して見られたが,一方は振り返りを書き出すためのきっかけを与える働きかけであり,他方は学びを深めるための働きかけであるという,異なる役割が確認された。
  • 髙橋 伸明, 渡邉 光浩
    2026 年61 巻 p. 99-104
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は,小学生のモバイルゲーム体験における「学び」の意味づけを,自由記述の質的分析と学びの主観的認知尺度LI_10との対応から検討する。対象は小学生75名で,LI_10(10項目,1〜5件法)の平均得点を算出した。自由記述は先行研究の観点と自己調整学習の観点を踏まえ,試行錯誤,予測・判断,達成・努力,転移,技能,協働,否定・不明の7カテゴリに分類し,内容に応じて1つの記述に複数のカテゴリを付与して整理した。各カテゴリの記述の有無でLI_10平均を比較した結果,協働や予測・判断の記述がみられた児童は得点が高く,否定・不明および技能の記述がみられた児童は低い傾向を示した。以上より,学びの主観的認知が高い児童ほど,他者との関わりや見通し・判断としてゲーム体験を言語化しやすい可能性が示唆された。
  • 渡邉 光浩, 堀田 龍也
    2026 年61 巻 p. 105-112
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,小学校段階で扱うべきクラウドに関する知識内容を検討するため,GIGAスクール構想に基づく1人1台端末環境で利用されるGoogle,Apple,Microsoftの児童生徒の利用に関わる資料,および国際的・制度的な参照資料としてUNESCOやAustralian Curriculum, Assessment and Reporting Authorityの資料における記述を分析した。抽出した記述を,保存,共有,管理,通信,同期,セキュリティの6観点,および基底層,利用層,管理層の3層に分類した結果,共有・保存および利用層に関する記述が多く,同期・セキュリティに関する記述は少なかった。クラウドに関する知識は,資料の目的や対象に応じて記述の分布が異なっており,小学校段階では,保存や共有の操作を入口としながら,通信・同期の仕組み,アカウントやアクセス,安全な利用,データや学習記録の管理まで含めて,児童生徒が学べる知識内容として再構成する必要がある。
  • 時任 隼平, 仲谷 佳恵
    2026 年61 巻 p. 113-118
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿では,高校英語プレゼンテーションにおけるICTを活用した初学者支援のあり方を検討するため,予備的調査を行った。まず,A県立A高等学校第2学年の生徒を対象に英語スピーキング不安尺度を用いた質問紙調査を実施し,英語で話すことに対する不安の実態を把握した。次に,授業担当教員へのヒアリングを通して英語スピーキングに関する学習目標と,AI等のICT活用が許容される学習活動の範囲を整理した。その結果,対象生徒は英語スピーキングに対して比較的高い不安を抱える傾向にあることが示され,また担当教員はアイディア出し,英語表現の適切さの確認,発表練習ではICT活用を許容する一方,テーマ決定,内容構成,自分の経験や意見の反映,および自分で理解できる範囲の英語による作文は,生徒自身が主体的に担うべき活動として位置づけていた。
  • 高校版100人論文における匿名付箋対話の探索的分析
    長山 定正
    2026 年61 巻 p. 119-125
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は,中学・高等学校の図書館を活用して実施した問い共有型企画「知の出会い」を対象に,図書館空間を教育メディアとして再設計した実践の効果と課題を探索的に検討するものである。実践はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)第4期指定校である勤務校の図書館(通称:第三教育センター)で実施し,高校生15名が15件のポスターを掲示した。各ポスターは,画像1点と「研究の問い」「なぜ重要か」「読む人への問いかけ」の3項目で構成し,来場者は自由に回遊しながら匿名で付箋コメントを書き込む形式とした。分析対象は,会場写真・見取り図・ポスター例,付箋コメント,事後アンケート,自由記述,ライトニングトークに関する複数回答アンケートである。付箋コメントの暫定コーディングでは,「問いの深化」「社会的・実生活接続」「探究支援的提案」が多く,単なる称賛よりも問いを前進させる対話が優勢であった。自由記述では,他者視点の獲得,言語化・整理の促進,承認による自信形成が見られた一方,ライトニングトーク希望者は得られず,書く対話から話す対話への移行支援が課題として残った。以上から,本実践は,学校図書館を「読む場所」から「問いを媒介に見る・書く・つなぐ場所」へ拡張する教育メディア実践として意義をもつことが示唆された。
  • 特別支援学校での音楽づくりを題材に
    山口 好和, 泉 祐太朗, 加賀 重仁
    2026 年61 巻 p. 126-129
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    「GIGAスクール構想」下の特別支援教育では,ICTによる表現の拡張が期待されている。本報告では,生徒の生活年齢に応じた興味関心と技能の乖離を課題とし,iPadアプリ「GarageBand」と身体特性に合わせた独自インターフェース「段ボールギター」を導入した実践について,3人の対話によって指導方法の特色を洗い出した。個別の可動域に応じた操作面の工夫や,録音の細分化によるワーキングメモリへの配慮,流行の動画を模した本格的な収録環境を構築した結果,生徒の態度は受動的なものから自発的な目標設定や他者との協調を伴うものへと変化した。「音楽を自分たちのものにする」という認識や自己効力感の向上が確認された。今後は,児童生徒の実態に応じた難易度別教材の体系化が求められる。
  • 自分史制作によるウェルビーイングへの効果
    和田 正人, 髙橋 敦志, 小川 眞理絵
    2026 年61 巻 p. 130-139
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    教員養成系大学生41人が,メディア・リテラシー学習において,自分史のデジタル・ストーリーテリング(DST)動画を生成AI利用と非利用で制作した。これらの動画を10項目のウェルビーイング尺度で比較した。生成AI利用動画は非利用動画よりもウェルビーイング項目では平均値で高い値を示してはいなかったものの,ネガティブな値を示した項目はなく,非利用動画よりも高い値を示した学生も存在した。これらのウェルビーイング値にベイズファクタ分析を行った結果,向上心はAI利用と非利用と同じであり,AI利用動画では,向上心が満足よりも高い値であった。さらに外見が内面よりも高い値を示した。本学習では,自分史のDST動画を制作したことそのものが振返りの効果があることを示した。
feedback
Top