抄録
教員養成系大学生がメディア・リテラシー学習において,自分のメディア接触経験をメディア史としてデジタル・ストーリーテリング動画を制作した。動画は生成AIを利用した動画とオリジナルの動画の2種類とし,これらを比較した。生成AI利用動画はオリジナル動画に比べて自分の表現の可能性が有意に低かった。そこには,生成AI利用動画は自分の思い(想い)をオーディエンスに伝えられないと認知していることによった。しかし,生成AIの光と影についてのブレーンストーミングの学習では,自分の思いとオーディエンスの関係に関する意見はなかった。そこで,生成AI利用動画で学習者が指摘した自分の思いとオーディエンスの関係は,生成AIを利用して動画を創造した時に生じたものであった。こうした関係は,小説で登場人物の気持ちを理解する教育,さらに自分の思いを書く作文教育によるために,生成AIの発展で解決されることは難しいことを指摘した。