抄録
本研究では,生成AI等の普及に伴い深刻化する偽情報問題に対し,その読解と副作用である「スピルオーバー効果(懐疑心の波及効果)」の抑制を両立するメディア・リテラシー育成プログラムを開発・評価した。小学校中学年を対象に,偽情報の読解学習のみを行う統制群と,情報の信頼性を調整し副作用を抑制する学習を行った実験群を設定し,授業実践を行った。学習効果の測定には,【T:特性理解とコンテクストの理解】【S:批判的思考技能】【A:信頼の調整と批判的思考態度】の3要素からなる質問紙を用いた。分析の結果,知識や技能の定着は両群に見られたが,信頼の調整や批判的思考態度については実験群のみに有意な向上が認められた。特に,情報を鵜呑みにせず立ち止まって考える態度や具体的な検証行動において実験群の優位性が示された。以上より,本プログラムは過度な懐疑心を防ぎつつ,適切な批判的思考態度を育成する上で有効であることが示唆された。