抄録
本研究は,GIGAスクール構想下で蓄積される教育データを児童の学びに還元するため,学力層に着目した教育データ利活用モデルの構築と試行を目的とした。中核市の公立小学校の1年生および4年生を対象に,タブレットドリルの定量的な学習ログと授業支援ソフトの定性的な思考過程データを統合し,児童の習熟度に応じた支援を試みた。低学年では「端末版スタートカリキュラム」により操作障壁を解消し,リアルタイムなデータ確認による教師の「精密な見取り」と即時介入を実現した。中学年では「黒板貯金」やAI分析機能を活用し,自己調整学習を促進した。実践の結果,挙手や発表が苦手な児童の「埋もれた声」の可視化や,動画解析を通じた高度な協働学習が見られるなど,データ活用が教師の見取りを精緻化し,多人数学級における個別最適な支援と自立した学習者へと導く可能性が示唆された