抄録
本研究では,小中学校教師による児童生徒への教科書の使い方の指導の実態を把握するため,小中学校教師を対象に質問調査を実施した。その結果,指導の実施状況としては,QRコードの使い方が最も頻繁に行われており,1人1台の情報端末環境に対応した指導が行われている実態が示された。一方,教師は「教科の内容に応じた活用」や「学習者に応じた活用」の指導,「子供自身が自律的に教科書を活用するという自分自身の授業観」に対して困難感・不安感を抱えていた。指導に関する学習機会については,校内の同僚や研修よりも,公的な勉強会や個人で参加する外部のセミナーといった校外のソースを重視する傾向が示された。また,これらの結果に教職経験年数による違いはみられず,指導をあまり行っていない教師ほど,学習者に応じた活用や授業設計に課題意識を持つことが確認された。なお,本研究は標本数が小さいため,統計的推測には限界がある点に留意が必要である。