抄録
本研究は,Canvaの共同編集機能を用いた図画工作科のアイディアスケッチ制作に着目し,試行錯誤と対話の観点から授業の実態と課題を探索的に明らかにすることを目的とした。公立小学校5年生2クラスを対象に,児童アンケートおよび担当教員,ベテラン指導教員,教科書会社社員へのインタビューを実施した。その結果,多くの児童は共同編集による相談や描き直しを肯定的に捉え,視覚的共有や修正の容易さが対話や試行錯誤を支えていることが示された。一方で,意図せぬ消去や操作ミス,他者の反応が見えにくいといった側面が,表現の受容や創造的熱中を阻害する可能性も確認された。これらの結果から,ICTを図画工作科において「道具」として位置付けるだけでは不十分であり,ICT固有の特性が学習環境や関係性に及ぼす影響を踏まえた活用の再検討が必要であることが示唆された。