抄録
人工知能の活用が進む一方で,その中核技術であるニューラルネットワークは構造や処理過程が複雑であり,学習者にとって理解しにくいという課題がある。特に小学校段階では,AIの仕組みそのものを扱う学習機会や教材は限られている。そこで本研究では,ニューラルネットワークの判断プロセスを,コンピュータを用いずに身体的体験を通して学ぶアンプラグド・ワークショップを開発・実践した。ワークショップは,算数パズルによるネットワーク構造の理解,経路探索による重み付けの理解,実在のアヤメ分類データを用いた擬似ニューラルネットワーク体験の三段階で構成した。小学生とその保護者を対象に実施し,実践後の質問紙調査を分析した結果,「重み付け」や「中間層」といった概念を言語化する記述が見られ,ブラックボックス化されがちなAIの仕組み理解に一定の効果が確認された。一方で,導入活動と主活動の概念的なつながりには課題も示され,今後の教材改善の必要性が明らかとなった。