抄録
本研究は,教員養成課程の学生56名を対象に,算数教育における生成AI(以下AI)がもたらす変容と活用への意識構造を実証的に解明した。定量分析の結果,ハルシネーションへの脅威(M=3.71, SD=0.46)や自力思考喪失への不安(M=3.67, SD=0.47)が極めて高く,算数教育の根幹である論理的厳密性と試行錯誤のプロセスへの影響が懸念されている。一方,図形領域(M=3.37)や個別最適な支援(M=3.35)への期待も高く,意欲と懸念が共存するアンビバレンスな構造が確認された。推測統計では,活用意欲と「教師の役割変容の認識」に強い正の相関(r=.92, p<.01)があり,AI導入をパラダイム転換と捉える傾向が示唆された。質的分析からは,AIの誤答を「問い」に変える「誤答修正学習」の有効性が示され,教師には「情報の真偽を数学的根拠に基づき吟味させる伴走者」としての役割が求められている。