抄録
「音楽生成AI」を活用した創作活動が児童の創造的態度に与える影響を検討した。AIによる表現技能の補完が「精緻化」に与える影響と,AIに対する児童の認識の変容を分析した。結果,「精緻化」において,特に否定層が中間層へ移行するボトムアップが確認された。これはワークシートによる思考の言語化に加え,教師が生成AIで提示した「カノンのコード進行」等の意図的な足場架けが,技能的困難を抱える児童の認識に影響を与えたことを示唆する結果を得た。一方,「流暢さ」「柔軟性」「独創性」では,「音楽生成AI」の圧倒的な生成能力を前に「人間が創るべき」「AIには感情がない」といった,人間固有の創造性を再定義しようとする批判的自覚の芽生えが確認された。「音楽生成AI」は技能を補完する「支援」の側面と,表現主体としての自己を問い直す「鏡」の側面を併せ持ち,AIの出力を吟味する態度の表出と認識の変容が確認された。