日本救急看護学会雑誌
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自己抜管を体験した看護師の感情と行動変化
鈴木 ゆか城丸 瑞恵
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 17 巻 2 号 p. 67-75

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抄録

クリティカルケア領域において患者の命に関わる気管チューブの自己抜管予防は重要課題である。しかし自己抜管体験者としての看護師に生じる感情、行動などに着目した研究は十分ではない。本研究では自己抜管を体験した看護師が抱いた感情、さらにその後の行動変化について明らかにすることを目的とした。関東圏内A病院のクリティカルケア領域の看護師7名に半構造化面接を行い分析した。 その結果、自己抜管を体験して起こった感情として、【自己抜管事例を体験した衝撃と恐怖】、【自己抜管事例を起こした自分に対する不信感】、【自己抜管予防は不可能という感情】、【患者は信じてはいけないという感情】の4カテゴリーが生成され、自分と患者・スタッフに対して不信・怒り・諦念などの感情を抱くことが明らかになった。体験した自己抜管事例に対する問い直しとして【援助の適切さに対する自分自身の問い直し】、【他者からの言葉による問い直し】、【仕事環境に対する問い直し】、【自己抜管原因を探求した問い直し】の4つが生成され、実施した援助の問い直しを行うことで、体験を消化する過程がみられた。自己抜管事例体験後の行動変化として、【予防に重点をおいた援助への変化】、【アセスメントする視点の変化】、【チームで協力しようとする行動への変化】の3つが生成された。研究参加者は一連の過程を通して多くの学びを得たことが伺われ、リフレクションが有用である可能性が示唆された。

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© 2015 一般社団法人日本救急看護学会
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