会計教育研究
Online ISSN : 2758-2132
Print ISSN : 2188-5575
スタディ・グループ最終報告
地方公会計教育における留意点
―財務書類の活用を中心に―
石田 晴美
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 11 巻 1 号 p. 11_44-11_53

詳細
抄録

本稿では「作成」から「活用」のステージに移った地方公会計において,総務省が財務書類活用のためどのような情報を公開しているか,及び,公開情報を活用する際に留意すべき点を明らかにした。現行では国が所有するものの都道県が管理する国道や一級河川等の「所有外資産」が自治体に存在し,資産と負債がアンバランスに計上されていること,固定資産の評価基準が各自治体により異なり類似団体比較が困難なこと,臨時財政対策債等の実質的には負債といえないものが負債に計上されること,および,固定資産の実際の耐用年数と指標作成に係る耐用年数が異なること等を検証した。そのため,特に純資産比率の団体間比較は困難となっており,総務省公表指標等の利用については留意が必要であることを指摘した。
地方公会計の最大のステークホルダーは住民である。情報を受け取る側の住民の会計リテラシーを高めることが重要である。そのために,地方公会計教育が果たすべき役割は大きい。

著者関連情報
© 2023 日本会計教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top