選挙研究
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福島第一原発事故後の原子力世論
その規定要因の実証分析
善教 将大
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 29 巻 1 号 p. 73-86

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抄録

本稿は脱原発への選好の規定要因について,有権者を対象とする意識調査を用いた分析より明らかにする。日本のエネルギー政策は,福島第一原発事故を契機にきわめて重要な政治的争点となった。そのような現状においては,有権者の脱原発への選好がいかなる要因に規定されているのかを明らかにすることが課題となろう。しかし先行研究は,危機回避指向や原子力発電所等への信頼感,人口統計学的要因にのみ着目しており,必ずしも十分にこの課題に取り組んでいるとはいえない。そこで本稿は原子力政策への選好を規定する政治的要因に注目し,その効果を脱原発への賛成と反対の次元を区別しつつ分析する。実証分析の結果,脱原発への賛成と反対とでは規定要因が異なること,さらに選挙の際の候補者間競争の違いが,脱原発への賛否の違いを論じる上では重要であることが明らかとなった。

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© 2013 日本選挙学会
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