本論文では,デュヴェルジェの法則とその中選挙区への応用であるM+1ルールの頑強性を実験室実験により検証する。単記非移譲式の1つの選挙区を想定し,実験参加者たちが有権者として4人の候補者たちの中から1人に投票するという設定で1議席(小選挙区)と2議席(中選挙区)を比較したところ,1議席のほうが票が少数の候補者に集中するというM+1ルールの比較静学が支持された。しかしながら,いずれの議席数でもM(議席数)+1人より多くの候補者に票が分散した。したがって,M+1ルールの比較静学は頑強と言えるが,ちょうどM+1人に票が集中するためには,本実験では排除された他の要因が必要であると考えられる。