選挙研究
Online ISSN : 1884-0353
Print ISSN : 0912-3512
ISSN-L : 0912-3512
反論提示による態度変化
熟議の政治的メカニズム
三村 憲弘山崎 新
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 30 巻 1 号 p. 68-80

詳細
抄録

本研究では,熟議を通した有権者の政策態度の変化における政治的メカニズムを,調査回答者に反論を提示し意見の変化を見るというJackman and Sniderman (2006) の枠組みを改変して応用した調査実験によって検討する。ここでの着眼点はふたつある。ひとつは反論提示の主体の属性の問題であり,もうひとつは反論の受け手である回答者の属性,特に政治や政策に対する関与・党派性・政治知識が果たす役割である。分析の結果,政治にも政策にも関与していない人々においては,反論によって熟考が起こることで態度変化が見られたが,政治や政策に関与している人々においては,そのような影響は確認できなかった。政治や政策に関与している人々においては,熟考ではなく,反論主体の影響や,反論主体と党派SID,政治知識との交互作用による態度変化が確認された。これらは,熟議にまつわる政治的コンテクストの重要性を示唆している。

著者関連情報
© 2014 日本選挙学会
前の記事 次の記事
feedback
Top