2015 年 31 巻 1 号 p. 102-113
2013年の参議院選挙より,公職選挙法改正によって政党や候補者のインターネット選挙運動が解禁された。そこで本稿ではその影響を,有権者の情報接触と政治的認知・投票参加行動との関係を明らかにすることによって多角的に検討する。ネット選挙の解禁により可能になった選挙活動はさほど大きくないため,より広くインターネット情報の影響をインターネット調査データの分析によって検討する。分析の結果,政党や候補者によるインターネットを用いた動員はかなり少ないこと,インターネット情報が持つ政治的な認知や投票行動への影響も限定的であること,それらの影響は年代によって大きく異なり,若年層において顕著であることなどが明らかになった。しかし,2013年にネット選挙運動が解禁されたということそのものの影響はあまり見られなかった。